活動報告

決算行政監視委員会にて、北朝鮮関連の質疑 2009年4月

4月21日、決算行政監視委員会の外務省の分科会で質問に立ち、伊藤副大臣を始め、外務省に北朝鮮に関連する質疑を行いました。ミサイル問題、拉致問題などについて、これまでの経緯と今後の方針を質疑しました。要旨は以下の通りです。


薗浦 今日は、北朝鮮のミサイル発射後の外務省の対応について、伺いたい。ミサイルが発射後、麻生総理がタイにて、日中、日韓、それから日中韓の首脳会談をやり、最後は日本側が中国を押し切って、非常に強い議長声明を出せることになった。
中曽根外務大臣は、朝から晩まで電話会談を行い、伊藤副大臣は、ニューヨークに渡られたと承知している。どういう働きかけをし、我が国のメッセージを各国に対して送ったのか。

伊藤副大臣 中曽根外務大臣が、米国、韓国、中国、ロシア等の外相等と何度も電話会談を通じて協議を行った。私も、9日からニューヨークに赴き、米中ロはもとより、議長国メキシコを初めとする安保理非常任理事国のすべての常駐代表等に対して直接働きかけを行った。
内容は、第1に、今回の発射の、少なくとも運搬手段はミサイルそのものであり、ミサイル関連技術あるいはミサイルの部品を使わずに発射そのものを行うことは、科学的に考えて全く不可能だ。
2年半前の国連決議1695、核実験を北朝鮮が行った後の国連決議1718。両方の決議において、北朝鮮が弾道ミサイル計画に関連するすべての活動を停止するということを要求されている。
従って、どのような角度から見ても今回の発射は両決議の明確な違反であるということを強くすべての安全保障理事国に、常任理事国に論理的に訴えた。このことに関しては一定の理解を、中国を含め、得たと思う。
同時に、安保理決議が違反され、それに対して何もしないということであれば、安全保障理事会の存在理由、また決議の重要性あるいは効果というものが失われる。したがって、これは安全保障理事会として迅速かつ強いメッセージを出す必要がある、そして日本としてはそのメッセージは決議というものが一番いいというふうに考えているということを申し上げた。
もちろん、いろいろな考え方がそれぞれの安全保障理事国の中であった。
非常に激しい現場での協議も通じ、国際場裏のそれぞれの場あるいは電話会談を通じて各国との間での大変緊張感に富んだ協議が進んだ。
いずれの国も地域の平和と安全の重要性といった認識については共有した。細かい文言や対応の仕方についての意見の隔たりは若干あったが、最終的に、中国との間では、タイのパタヤにおいて、麻生総理が温家宝総理と日本の考え、立場を主張する協議を行った。その結果を受けて、ニューヨークにおいて主要関係国間で議長声明案というものがまとまって、日本時間の14日の発出に至った。
本議長声明は、十分に強い内容のものであり、具体的な手段も日時を区切って書いてある。これがコンセンサスであり、ベトナムやリビアやウガンダも含め、15カ国全部のコンセンサスを得て発出したものであるから、北朝鮮に対する国際社会の一致した強いメッセージを発出できたと考えている。

薗浦 米国、英国、韓国というのは非常に日本と立場を一にしていた。一方で、中国、ロシアというのは決議に対して非常に慎重派であった。
その5カ国については立場が分かっているが、すべての理事国、非常任含めて交渉した中で、5カ国以外の国の対応は、日本側に近い方が多かったのか、もしくは、決議には慎重で、中国にちょっと近いなという方が多かったのか。感触としていかがだったか伺いたい。

伊藤副大臣 国際場裏での協議の詳細を相手国名を挙げてつまびらかにすることは逆に今後の外交交渉の中で多少障害になる部分もあるので、可能な範囲でお答えしたい。15カ国のうち大半は日本の主張、日本の考え方に同調した、少なくとも一定の理解を示したと考えている。

薗浦 15カ国の大半が、我が国寄りであるというのは非常に大事なことだ。要するに、国際世論は日本寄りの方が圧倒的に多いということをもっと知らせる努力をしていただきたい。
さて、非常に強い内容の議長声明が出た。ただ拘束力はない。ないけれども、国連が出した以上、これを具体化し、実現をする努力をしなければならない。決議1718は、資産凍結対象団体などを指定することになっているが、日本政府として、さらに新しく団体とか企業を指定するつもりはあるのか。

伊藤副大臣 国連安保理の議長声明を受けて、現在、北朝鮮制裁委員会において大量破壊兵器関連品目や資産凍結対象団体についての議論が行われている。
現在、関係国間で議論が行われているところであり、詳細について述べることは差し控えるが、我が国は既に安保理決議第1695に基づき15団体を指定している。それも踏まえつつ、制裁委員会における議論に積極的に参加している。
我が国としても、国連安保理決議1718の厳格な実施につながるような結論が早期に得られるように、引き続き努力を傾注していく。

薗浦 全く日本に関係のない団体、外国にあるような団体も指定できると理解をしているが、政府として、そうした団体でも指定するという決意はあるか。

外務省 日本政府の場合には既に先の決議で、15団体を指定し、閣議了解に基づき、15団体に対し資金の移転防止措置を講じている。独自に日本として措置をしている。我々としては、この15団体、これも踏まえつつ議論を進めている。
今行われている安保理での議論については、この15団体というものを踏まえまして議論をしている。

薗浦 議長声明の発出を受けて北朝鮮が反応をした。6者協議からの離脱、それから核開発の再開、また恫喝外交を始めた。外務省の認識を伺いたい。

伊藤副大臣 議長声明の発出を受けて北朝鮮外務省が、北朝鮮は6者会合に参加しない、あるいは使用済み燃料棒を再処理するといった立場を表明したことは認識している。
北朝鮮の意図について、政府として詮索したり、評価したりするということは適切でないので差し控えるが、国際社会の声は、今回の安保理議長声明に明記されているとおりだ。北朝鮮がこの議長声明を重く受けとめ、6者会合に復帰して、安保理決議1718号を完全履行するということが大事であり、政府としてはこれを北朝鮮に強く求めたい。
大事なことは、国際社会がこの議長声明の発出に見られるように一致してこのことに対応する、そして毅然として対応するということは、特に我が国の政府として大事だ。
政府としては、引き続き、米国、韓国、中国を初めとする関係国と緊密に連携して、6者会合プロセスの前進のために精力的に取り組んでいく。

薗浦 我々は常々北朝鮮に対し、拉致、核、ミサイルという3点セットを言っている。今回のミサイル発射と北朝鮮のこの一連の対応で、拉致問題に対して与える影響が、予想されると思う。現段階で、ミサイル発射とその後のこれまでの経過が拉致問題に対してどのような影響を与えているのかという認識を伺いたい。

伊藤副大臣 北朝鮮がミサイル発射を強行したことは、安保理決議、そして日朝平壌宣言に違反するものだ。また、地域の平和と安定に対する脅威であると同時に、我が国の安全保障に直接かかわる重大なことだ。
今回の発射を受け、北朝鮮に対し我が国として抗議を行った。その際、改めて、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向け北朝鮮が具体的な行動をとるように求めたところだ。
我が国としては、日朝平壌宣言にのっとり、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決して、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を図るとの基本方針には変更ない。また、昨年8月の日朝合意に従って、我が国も行動する考えであることにも変わらない。
麻生内閣発足後、これまで北京の大使館ルートを通じて北朝鮮側に対してもその旨を伝達し、権限が与えられた拉致問題に対する調査委員会の早期立ち上げ、及び全面的な調査の開始を求めている。
我が国としては、北朝鮮による調査のやり直しが早期に開始され、拉致被害者の方々の一刻も早い帰国につながるような成果が早期に得られるように、引き続き北朝鮮側に強く求めていく。

薗浦 拉致問題は日々残された時間が少なくなっていく。今回の件は、もちろん北朝鮮の暴挙だ。ならず者国家がそこにあるという事実は厳然としてあるわけだが、ご家族の方々にとって見れば、またこれで延びるのではないか、北朝鮮が何もしなくなるんじゃないかという懸念があるのではないでしょうか。その懸念を少しでも払拭するような努力を、政府としてこれからやっていかなければならない。
これまでの対応は、今伺った。基本方針が変わらないのは当たり前だが、今回の事態を受け、プラスアルファで何かやられるということは考えているのか。
対話と圧力じゃなくて、あの国は圧力と対話でなければ動かないというのは歴史が証明している。いろいろな手段を考えているのであれば、答えられる範囲内で、今後の方針を伺いたい。

伊藤副大臣 北朝鮮は、昨年11月21日、国連総会の第3委員会における北朝鮮人権状況決議の採択後のステートメントで、「我々は日本人の拉致問題に関し、あらゆることを行っていく用意があり、再調査も行う用意がある」と述べている。
北朝鮮には、昨年8月に合意したとおり、拉致問題に関する全面的な調査を早期に開始することをさらに求めたいと考えている。それが実施されれば、我が国としても、行動対行動の原則に基づいて、約束した措置を実施する。
交渉するのが大変難しい相手だが、拉致問題を1日も早く解決するために、政府として、あらゆる知恵や努力を結集して、早期解決するための努力、行動を続けてまいりたい。
これは速やかに解消しなければいけないというふうに思っている。平成16年度より重点対策を進めている。
ポイント的に申し上げれば、例えば健康保険、厚生年金保険で申し上げると、まず第一弾は、労働保険の適用事業所の情報、あるいは新規に設立される法人の情報、そういった情報に加え、関係機関から提供される情報を活用して、未適用事業所というものがどこにどの程度あるのかをきちんと把握する。その上で、加入勧奨状の送付、あるいは訪問をして、強く勧奨を迫るというようなことをしている。
ただ、なかなかそれだけではいかない。そういう事業所もあるので、特に一定規模以上の、5人以上とか、あるいは業態によっては15人以上とかそういう形になるが、一定規模以上の事業所等に対しては、呼び出しだとか、戸別訪問とか、そういうような形での重点的な指導をさせていただく。
さらに、そういう重点的な指導にも応じていただけないところについては、できるだけ抑制的であらねばならないというふうには思っているが、やはり立入調査とか、さらには職権による適用とか、そのようなことで、適正化に取り組んでいるということだ。

薗浦 その難しい交渉相手の話だが、健康不安説というものがずっと流れている。一時期、動静も伝えられないという時期があった。最近になって、いきなり急に、やせた姿が映像として流されるようになった。いろいろな分析があり、にせもの説もあり、諸説入り乱れている。
金正日の健康状態に関し、言える面、言えない面がもちろんあるだろうが、外務省として独自情報を含めて把握しているのかどうか。それからもう1つは、最近になって急に出始めてきた、報道、放映されるようになってきた。これの背景をどうやって分析されているのか。答えられる範囲で伺いたい。

伊藤副大臣 指摘の映像あるいは健康問題があるが、最近そのような映像が頻繁に流されるということに関しての北朝鮮側の意図というのは、必ずしも明確ではない。
政府としては、北朝鮮の情勢に対し、金正日国防委員長の健康状態を含め、米国、韓国を初めとする関係国といろいろと緊密に情報交換をしているが、今指摘されたように、現在政府が得ている情報の詳細について具体的にここで述べることは、事柄の性質上いろいろ差し支える面もあるので、差し控える。
いずれにしても、政府としては、引き続き北朝鮮情勢について非常に強い関心を持って各種いろいろな情報の収集、分析を行っており、これからも鋭意その収集、分析を行って、的確な判断をするべく努力を傾注していく。

薗浦 民主主義国家ならいざ知らず、1人がすべての権限を握っていると言っても過言でない国家であり、その動向には大変注意を払う必要がある。何らかの意図があって最近出てくるようになったことは間違いないと思っている。その辺をきちっと分析してほしい。
次に、北朝鮮のミサイルだが、1段目のロケットはほぼ通告どおりの地点に落下した。ということは、ほぼ北朝鮮がもくろんだとおりの性能を発揮したというふうに考えて間違いないと思う。とすれば、それを引き揚げて分析すれば、今北朝鮮が持っているミサイルの能力がほぼ分かると思う。ミサイルの1段目が落ちた水域というのは日本のEEZの中で間違いないか。

外務省 4月5日の北朝鮮による発射に伴う落下物のうち、今指摘があった最初の落下物は、秋田県西方約280キロメートルの日本海上に落下したと推定されており、我が国の排他的経済水域内に落下したと考えている。

薗浦 日本の排他的経済水域内に落下したものを我が国政府が引き揚げるということは、法律上何か問題はあるか。

伊藤副大臣 一般論として言えば、日本の排他的経済水域、いわゆるEEZに落下物があって、当該物体が漁業資源、環境等に影響を与える可能性がある、そういう場合には、沿岸国である我が国の権利の侵害を防ぐために、我が国が当該物体を引き揚げることも認められると考えられる。
他方、その場合であっても、引き揚げた物体の所有権が引き揚げを行った国に帰属するとまでは必ずしも言えないというふうにも考えられている。

薗浦 北朝鮮のロケット燃料は非常に環境への害が大きいものが使われている。これを引き揚げた場合、所有権は我が国政府だと主張できるのか。

伊藤副大臣 海上に落ちた落下物については、一般的には回収が困難であることもあり、回収作業の法的性格をめぐる確立した国際法上の解釈はないが、実際の回収に当たっては、法的側面も考慮する必要があると考えている。

薗浦 もう1回言うが、北朝鮮のミサイル技術はあそこに集約されていると思っている。あれを引き揚げるというのは、我が国の安全保障上すごく大事なことだ。引き揚げたときに、我が国が子細に分析できるような法律の理論武装、外交上の努力をするのもこれまた外務省の仕事だと思う。副大臣の見解を伺いたい。

伊藤副大臣 議員の指摘、意見、まさに傾聴に値するものだと私は個人的に考えている。他方、回収の是非について、今私が申し上げた以上に外務省としてお答えできる立場にないということも理解いただきたい。


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